【コラム】台風の「陰」で

 昨晩は台風に眠りを妨げられた人も多いのではないか。窓は終始ガタガタ鳴っているし、外では時折すさまじい破裂音が聞こえたりして、ちょっと怖かった。まあこの様子だと明日の講義は休講になるな、と思いやっとのこと眠りについたわけだが、今朝眼を覚ましてびっくりした。窓からは気持ちのよすぎるほどの朝陽がさしこみ、身体全体にうっすらと汗もかいている。外も暑そうだ。フェーン現象というやつか。

 これじゃ講義も通常通りか、と意気消沈。急ぎ準備をすませて家を出た。しかしここでまた急展開。歩きながらスマホを取り出してツイッターを開いてみると、学生がみんな「運休」とか「遅延」とかつぶやいている。中には「休講」なんて福音も。これは、とよこしまな期待を胸に教養学部のホームページを覗いてみると、案の定、「【重要】台風24号に伴う休講措置等について」という大仰な記事が掲示板にアップされているではないか。

本日午前の授業は休講いたします。

なんだ、午前だけか。というのも、井の頭線が運休していたのは確かだが、午前のうちには復旧するからだそう。

 授業は午後からだけど、一度外出してしまったのに引き返すのはなんだか悔しい。せっかくだから駒場に足を運んで、台風の爪痕でも見に行こうかと思い立った。

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写真=1号館の北から正門に向かって撮影、木が倒れ立ち入りが禁止されている

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写真=掃除が大変そうだ

 思っていたよりも被害は大きかったようだ。そこら中に木の枝葉が散乱しているし、倒木まであった。これじゃあ掃除も大変だろう。本郷キャンパスでは銀杏並木に銀杏の実が散乱して、ネット上では「銀杏爆弾だ」なんて表現もされていたが、駒場は早くに「処理」が済んでいたようで、学生への実害はなさそうだ。

 それにしても、平日の通常授業日にこれだけ静かな駒場は、かつてなかったかもしれない。それも学期の始めなのに。学年を重ねるにつれて、特に後期教養学部生は「居場所がない」と嘆くことが多い。どうも1、2年生の活気に圧倒されてしまい、食堂はおろか、図書館さえはばかることもある。

 台風のおかげで(?)、久しぶりに駒場でゆったりとした時間を過ごすことができた。

 

仲井成志(教養学部・4年)